「スキン+ボーンズ」展
国立新美術館で開催された「スキン+ボーンズ」ー1980年代以降の建築とファッションー。会期終了1時間前に滑り込む。この企画展は、建築とファッションを同じコンセプト毎に並列し、それぞれに共通する表層(スキン)と構造(ボーンズ)から両者の創造過程を読み解く、という変わった切り口によるもの。一般には全くの別の文化と考えられている二つの領域に共通する思想や表現、技法の結びつきを浮かび上がらせており、衣装と模型の並列はかなり説得力のある展示だった。
最近の傾向として、コンピュータをはじめとするさまざまな技術の革新が自由な造形を可能とし、表面と構造の関係に大きな変化をもたらしたことは特筆すべきことでしょう。ファッションデザイナーたちは、布を用いて、構築的で複雑な衣服を作り始め、また建築の分野では、仕立ての技術にも通ずる、より複雑なフォルムを生み出しています。大変興味深いことに両者は、「折る」、「プリーツをつける」、「ドレープをつける」、「包む」、「吊るす」、「織る」、「プリントする」などといった技法を共有し始めているように思えるのです。ボリュームは相当なもので楽しめたが、特に気合い入れられていた、平面を加工する「構成の技法」の展示にはそれほど新鮮味は感じない。まぁ僕は学生時代からそういうアプローチにはさんざん興味を持ち、その奥の深さに跳ね返された過去を持つせいもある。
国立新美術館公式ウェブサイトより
個人的に関心があったのは、創造のプロセスと形態の生成あたりの展示。ほそぼそと小さなモニタでやっていた、プレストン・スコット・コーエンの幾何学的ドローイングのアニメーションに驚く。ガウディの展示でも似たような形態生成のアニメーションがあったが、こちらのほうが遙かに複雑。テル・アヴィヴ美術館の捻れまくった空間、行ってみたいものだ。もうひとつ、"動き"を持つ衣服、メージン・ユーンの「メビウスドレス」も興味深かった。メビウスの輪状の一枚布で出来たドレスが布の力によってほどけるという、一種のインタラクション。
上の引用にあるように、80年代以降においては、どの分野のものづくりにおいてもコンピュータの影響はもはや言うまでもない。それまでの空想力だけでは到底描けなかった形態の生成が可能になったわけだが、しかし、そうなった今でもやはりファッションデザイナーも建築家も、広告のアートディレクターも、(多くが)手でスケッチを描きながら断片的なイメージをまとめているわけで、個人的な希望としては、小規模でいいのでその辺が見れたらな、と思った。それは今回のコンセプトではないのだろうけど。多分、紙と鉛筆で描かれるラフな世界に見える検討段階は、完成品の比較よりも深いつながりが見えるはず。
それにしても、見逃すと後悔しただろう面白い展示内容で(目録売り切れで残念)、日本の美術館もこんなとり組みするようになったか、と感心していたら・・・なんだ、MOCAの巡回展か。こういう試みは面白いのでどんどん日本でもやって欲しいものだ。
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