デザイナーは、寿司屋or 医者?(その2)
昨日の続き。
寿司屋は特殊としても、デザイン行為のたとえとしてよく聞くのが、「医者」。患者に問診してどこが悪いかを調べ、対応する処置を取る。この関係をクライアントとデザイナーの関係に見立てるものである。佐藤可士和がよく使っているらしいけども、この比喩は割と色んな人たちから聞く気がする。(ついでに、これはコンサルレベルの仕事やそろばん勘定ができないと恥ずかしくて言えないセリフで、若者がしったかして使うとベテランに『何様だ』と怒られることになる)
さて、たとえにする以前に、医者の方々はどんな仕事しているかというと。
というわけで、ささやかながら医者の仕事のことも知ろうと努めているが、最近読んだ新書「見習いドクター、患者に学ぶ -ロンドン医学校の日々- 」という本は興味深かった。
医者が患者と対話しながら情報を得る際の「問診」という言葉を知っている人でも、その際、医者がどういうテクニックを使っているかを知る人は少ない。ある若手医者の留学体験を綴ったこの手記は、その辺を紹介している貴重な一般向けの本だ。
寿司屋は特殊としても、デザイン行為のたとえとしてよく聞くのが、「医者」。患者に問診してどこが悪いかを調べ、対応する処置を取る。この関係をクライアントとデザイナーの関係に見立てるものである。佐藤可士和がよく使っているらしいけども、この比喩は割と色んな人たちから聞く気がする。(ついでに、これはコンサルレベルの仕事やそろばん勘定ができないと恥ずかしくて言えないセリフで、若者がしったかして使うとベテランに『何様だ』と怒られることになる)
さて、たとえにする以前に、医者の方々はどんな仕事しているかというと。
「宿命です。365日ビシッと診ていけば人間は非常に強くて元気になる。患者さんが助かるために仕事をしている訳でその他のものではありませんからね」以前、プロフェッショナルでやってたこの外科医の回を見た時、激務の中の相当な勉強量だけじゃなく、なによりも人命を救う最後の砦としての強烈な責任感に心の底から震え上がったことをよく覚えている。もちろんこれは最高峰レベルの仕事人ではあるが、半端な知識だけで表面的にたとえちゃいけないよな、と思った。
プロフェッショナル 365日24時間医者であれ 外科医、幕内雅敏
というわけで、ささやかながら医者の仕事のことも知ろうと努めているが、最近読んだ新書「見習いドクター、患者に学ぶ -ロンドン医学校の日々- 」という本は興味深かった。
医者が患者と対話しながら情報を得る際の「問診」という言葉を知っている人でも、その際、医者がどういうテクニックを使っているかを知る人は少ない。ある若手医者の留学体験を綴ったこの手記は、その辺を紹介している貴重な一般向けの本だ。
学生が、お手本となるベテランドクターの問診の現場を観察し、問診手法を学ぶ実地演習の場面を抜粋してみる。
たとえの話に戻ると、自分の場合は、「他の職業にたとえると何ですか?」と聞かれたとしても、恥ずかしながらピシリとした答えはだせない。寿司屋でも医者でも、その他職業であっても、ターゲットして喩えることには自分は興味が無くて、知りたがりな性格ゆえ、異分野の新鮮な話を聞くこと自体が好きなんだなと再確認した。なるべく偏見を無くして、目から鱗なことを体験し日々取り入れる工夫をしよう。
「先生はオープンクエスチョンを多用してました」なるほど、と思うことしきり。信頼関係が重要な仕事として、デザインというより教師教育ともそっくりの話である。残りは原本をお読みいただきたいが、他にもいろいろ医学教育のことが紹介されていて、患者との対話の方法について医者もトレーニングしていることがわかる。ちなみに、これは患者中心医療の医学教育が発達しているイギリスでの事で、日本の医大で同様のことをしているかは不明。おそらく事情が違うからこの本が書かれたのだと思う。どうやら先進的な国ではどちらかの一方通行ではなく、発信側と受信側の両方通行の形式が取られお互いを教育し合っていること、そういった考え方が体系化されていること、というのは分野を問わない話のようだ。
「オープンクエスチョンとは何だね?」
「『今日はどうしましたか?』というような質問のことで、患者は自分の言葉で自由に答えることができるものです。それに対してクローズドクエスチョンとは、『頭痛はありますか?』のようなイエスかノーかでしか答えられない質問のことです」
<中略>
「オープンクエスチョンは問診の最初で特に有効なのだよ。まずは患者に話してもらう。診察の主役は医師じゃない。患者なのだ。これが『患者中心の医療』の根幹にある考え方だ。いいかね。だがあまり患者に自由に話してもらっていると、だんだんはなしにまとまりが無くなってきて結局一番大切なことがなんだったのかが、曖昧になってしまうこともある。そうならないように問診の後半では医師が確認しておきたいことをクローズド・クエスチョンのかたちで質問するのだ。そうすることで患者からみても医師から見ても満足のいく診察が行えるのだよ、つまり、オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンにはそれぞれ長所と短所があるが、二つを有効に使い分けることが肝要なのだ。
<中略>
医師が患者の気持ちを理解することなく、一方的に治療法などを通達した場合、患者の治療に対するアドヒアランス(※)が低下してしまうのだよ。つまり、患者自身がその薬を飲む理由が納得できてない場合、つい飲み忘れてしまったり、意図的に飲まなかったりするということが起きてしまう。これでは治療法は上がらないし、医師への信頼も生まれない。医師の診察自体を受けなくなってしまうかもしれない。こういう悪循環だけは避けなければならない。一方、患者自身も医師と一緒に治療法を考えてその薬を飲む理由を納得している場合は、意図的に飲まないということは起こりにくい。そうすれば、治療効果もあがり、医師への信頼も高まり、同時に医師の患者に対する信頼も上がる」
※指示遵守度。患者が治療の意義を理解したうえで主体的に治療方針を選択し、その治療を続けていくこと。医師の役目はそれを維持していくための手助けをすることだという考えに基づき、従来使用されてきたコンプライアンスということばに変わって使用されるようになった。
たとえの話に戻ると、自分の場合は、「他の職業にたとえると何ですか?」と聞かれたとしても、恥ずかしながらピシリとした答えはだせない。寿司屋でも医者でも、その他職業であっても、ターゲットして喩えることには自分は興味が無くて、知りたがりな性格ゆえ、異分野の新鮮な話を聞くこと自体が好きなんだなと再確認した。なるべく偏見を無くして、目から鱗なことを体験し日々取り入れる工夫をしよう。
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いや~、今回の話は含蓄があり面白かった。
4月新入生にいきなり使ってみよう。
「問診手法」、おもしろいですねー。
卒制のテーマを決めていくときはこんな感じかもしれません。(^^)
オープンよクローズドのは占い師も使う手だとか聞いたことがあります。ちょいとずる賢いかもしれないです。
遅くなりましたが、反応有り難うございます。
占師がやっているのは一種のカウンセリングみたいなモノなのかな。手法自体にずるいってことはなくて、使いようなのでしょう。