傑作ダイアグラム発掘紀行:「日本列島の地域構造・図集」

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zu1.jpg 以前、アイデア誌324号のダイアグラム特集で紹介されていて気になっていた、幻の大型本「日本列島の地域構造・図集/Regional Structure of Japanese Archipelogo(Atlas)」。(1967年) 偶然ながら専大図書館の蔵書から発掘することができた。まさか身近にあったとは。貸し出し印の跡は一つもなく、購入されて過去40年の間、ひっそりと棚に置かれたまま誰にも開かれることがなかったようだ。
 
 この図集は、当時経済成長が進み、地域問題が浮上する中で議論の土台を作るために、様々な角度から日本列島の「今」の情報を視覚化することを狙って作られたらしい。黒く重厚な箱の中、中身は綴じられておらず、二つ折りにされた台紙に日本列島の自然、人口、産業、交通などの沢山の県別統計データを元に作られた114の図が束ねて収容されている。
地域差を強調するために、(当時としては)斬新なカルトグラムで表現されており、方眼メッシュや六角形のモジュールを駆使して統一性を持たせるようにシステマチックに多色展開されている。

 
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zu3.jpg今なら簡略化してイラストレータで簡単に作れそうなものだけど、多分これは手作業で六角形のスクリーントーン(?)か何かを切り貼りして作られたのだろ う。多数の学者とグラフィックデザイナーを動員し2年半かかったと記されているが、その視覚化手法の探求心と仕事の丁寧さに素直に敬服する。シンプルな ルールは今でも色褪せてない。


某グラフ、円グラフなどグラフの概念で捉えられる手法は、現象を定量的に鋭く表現するためにはなくてはならないものである。しか し量的な対比を明確に表示しようとすればするほど、複雑な構造をもった全体像の極小部分を切り取る形となり、全体像を見ようとすれば、継時的に多数のグラ フをつき合わせて、観察者の思考過程の中で論理的な関係を組み立てなくてはならない。その点で、なまの数表を読んでいく場合と同じような、利用の限界があ る。
また、地図の概念でとらえられるものは、量を表現する点・線・面などの図形あるいは定性的な記号-アイソタイプを地形図の上にプロットして現象の地域的分 布を示すものである。地域間の対比はこれによって表現することは出来るが、性質の異なる諸指標間の相関関係を読み取ることは一般に困難である。構造モデル をあらかじめ想定して量的表示のパターンを標準化し、図上での相関関係を強調しようとすれば、それは主観を含んだ特定の論証に単に「さしえ(イラストレー ション)」を付け加えるだけのことになる。

われわれの意図したものは、計測された地域現象をふたたび実体間のある形象にもどしながら、それらの形象が自ら意味を語り始めるのを期待する、といったことである。
個別の地域現象が個別の形象に表現されていたとしても、最初の現象そのものの相互の間に相関関係が成り立っているものであれば、形象を相互に重ね合わせた ときにその関係は自ずからにじみ出して来なければならないーそれを可能にするような形象化の方法を見つけたい、ということがデザインの最大の課題であっ た。
今ひとつは、その形象化の方法が主観的な好みやいわゆる「うまさ」が介入することなく、一定の論理的な方法として繰り返し多くの場合に利用できることが望ましかった。

<中略>
いまひとつの手法は、府県単位の正六角形の連続によって量の分布をそのまま地域構造の定性的表現に転化させようとするものである。この場合、日本列島の偶 然の形態的な特徴が、見慣れた者にとっては都道府県の位置関係を見つけるのに容易であるということが大きな助けになった。
<中略>
正六角形図形は、それぞれについて、二個以上の指標を重ね合わせることによって、一方を他方に対する背景資料としていわば白地図としての役割を持たせた。すべての正六角形を相互に比較することによって各種の現象の間の相関や矛盾を読んでゆくことが本来の使い方である。
(本文概要より転載)



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日本地域開発センター編
監修:木内信蔵、丹下建三
アートディレクション:牧谷孝則






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このページは、kamihiraがAugust 25, 2008 9:10 PMに書いたブログ記事です。

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