"Design the Happiness" 小島健嗣氏講演会
もう10日も経ってしまったが、先週の火曜日(6月16日)には1年生向けの「情報と社会」という講義で小島健嗣氏をお迎えした講演会を行った。小島さんは富士フイルムのデザインセンターに勤務されており、現在は管理職として組織の中でのクリエイティビティをどのように高めていくかに情熱を燃やされている方である。新素材の研究者とデザイナーの発想が出会う場として"タッチゾーン"という実験的なワークショップを育てられており、そこで生まれた成果物は昨年秋のデザインイベント100%Designのブースでも注目を集めていた。
小島さんが取り組んでおられるデザインマネージメントという実践領域は、ものごとを俯瞰してみるような視野の広さが必要なため学生に説明するにはちょっと難易度が高い。しかしながら、いつも(酒を飲みながら)お話を聞かせていただく中で、そういった専門的な話ではなくても、ささいな事象から大事なことを鋭く見抜く視点や、フットワーク軽くいろいろなことを面白がる姿勢には僕自身が大変勉強させていただいている。この人のお話なら、まだ仕事に対して実感がわいてない一年生にもきっと伝わるという確信を持ち、この講義の担当の山下先生との間をつないで図々しくも講演をお願いしてみた次第である。
実際、専門的な話が割と理解できる3年生ではなく、つい先日まで高校生だった1年生の観衆にデザインの話を易しく噛み砕いて話をするのは相当難しいと思う。しかもここは情報学部だ。その辺の難易度の高さに戸惑われながらも講演を引き受けていただいたわけだが、長年デザインの世界で生きてきた人だけあって、壇上に上がると、さすがにプロ。テンポの良い語り口によって、我々の学部の立ち位置と御自分がこの場で伝えられることの繋がりを押さえながら、製品が世に出る前のプロセスやそこでポイントとなるデザインの考え方を丁寧に解説されていく話の流れは、僕と山下先生の事前にお願いした要望にピタリと応えている。
リサーチ事例として紹介されたユーザ調査のお話が圧巻だった。「10代後半〜20代後半の女性の写真を取り巻くライフスタイル、その実態と10年後の予測」と題された調査のもので、フィールドワークを通して一般の人々のアルバム写真や加工を丹念に追った記録は、写真に残すこととその人の過ごした人生が一対であることを生々しく表出している。そして世代ごとの特徴や親と子の影響など、時間軸の中で再構成されることを考慮したタイムラインの図表は、綿密な考察に基づいているもので大変興味深いものだった。
デザインとは何か?そして一体何をデザインすべきか?ということで表題の「Design the Happiness 幸せをデザインしよう」へと至るお話をしていただいたわけであるが、そのために、みんなが学ぶべき能力として、デザインリテラシーのポイントを紹介された。そして、教える、学ぶ、実践する、結果を出す、という経験は別々のモノではなく連続していること、それぞれのことは一面であり、一歩踏み込んだ解釈で考えてみるという方法を提示された。教えることは気付かせることであり、学ぶことは気付くことであり、実践することは気づきを確かめることであり、結果を出すと言うことは共感を呼ぶことである。ものごとは繋がっているのだから、どんどん回していこう、と。
オブサベーションの具体例として紹介された、小島さんが撮影された写真は誰にでもわかる強い説得力がある。あとで学生も言っていたがスライドの背景で使われている写真も併せて、とても美しい。普通のデジカメなのにな。新鮮な目で日常生活で見たものを捉えていくことの習慣の大事さを改めて思う。
ちょっと難しい部分もあったかもしれないが、学生達もデジタルカメラはただ機能を満たすだけではなく、こういった調査を元にしてユーザにとっての経験を生み出すものとして開発されていることをおぼろげながら知っただろう。全部飲み込めなくても、初心者にとってはこのような想像も及ばないような部分まで考え、探求している魂を持っている人の背中を知ることが大事なのだと思う。小さなお体から語られる熱気は300人に届いていた。
お忙しい中、魂のあるお話を聞かせていただき、どうもありがとうございました。
実際、専門的な話が割と理解できる3年生ではなく、つい先日まで高校生だった1年生の観衆にデザインの話を易しく噛み砕いて話をするのは相当難しいと思う。しかもここは情報学部だ。その辺の難易度の高さに戸惑われながらも講演を引き受けていただいたわけだが、長年デザインの世界で生きてきた人だけあって、壇上に上がると、さすがにプロ。テンポの良い語り口によって、我々の学部の立ち位置と御自分がこの場で伝えられることの繋がりを押さえながら、製品が世に出る前のプロセスやそこでポイントとなるデザインの考え方を丁寧に解説されていく話の流れは、僕と山下先生の事前にお願いした要望にピタリと応えている。
リサーチ事例として紹介されたユーザ調査のお話が圧巻だった。「10代後半〜20代後半の女性の写真を取り巻くライフスタイル、その実態と10年後の予測」と題された調査のもので、フィールドワークを通して一般の人々のアルバム写真や加工を丹念に追った記録は、写真に残すこととその人の過ごした人生が一対であることを生々しく表出している。そして世代ごとの特徴や親と子の影響など、時間軸の中で再構成されることを考慮したタイムラインの図表は、綿密な考察に基づいているもので大変興味深いものだった。
デザインとは何か?そして一体何をデザインすべきか?ということで表題の「Design the Happiness 幸せをデザインしよう」へと至るお話をしていただいたわけであるが、そのために、みんなが学ぶべき能力として、デザインリテラシーのポイントを紹介された。そして、教える、学ぶ、実践する、結果を出す、という経験は別々のモノではなく連続していること、それぞれのことは一面であり、一歩踏み込んだ解釈で考えてみるという方法を提示された。教えることは気付かせることであり、学ぶことは気付くことであり、実践することは気づきを確かめることであり、結果を出すと言うことは共感を呼ぶことである。ものごとは繋がっているのだから、どんどん回していこう、と。
オブサベーションの具体例として紹介された、小島さんが撮影された写真は誰にでもわかる強い説得力がある。あとで学生も言っていたがスライドの背景で使われている写真も併せて、とても美しい。普通のデジカメなのにな。新鮮な目で日常生活で見たものを捉えていくことの習慣の大事さを改めて思う。
ちょっと難しい部分もあったかもしれないが、学生達もデジタルカメラはただ機能を満たすだけではなく、こういった調査を元にしてユーザにとっての経験を生み出すものとして開発されていることをおぼろげながら知っただろう。全部飲み込めなくても、初心者にとってはこのような想像も及ばないような部分まで考え、探求している魂を持っている人の背中を知ることが大事なのだと思う。小さなお体から語られる熱気は300人に届いていた。
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僕が、ホンキで『デザインって良いな』って思えたきっかけも
小島さんに、僕の作品を講評してもらった時。
「その提案、電気屋に並んでたら、君いくらで買う?」
って、聞かれて、その時はプレゼンなんで、強気に答えましたが、
今、デザインし始めて、この言葉を胸に仕事できることが、
ワンクリックワンクリックに役に立ってます。
その視線の鋭さを持ちながらにして、柔らかい語りが学生の
ココロに響く事間違い無しですね。
一年生に聞かすの勿体無いっ!僕が聞きたいw
---
って、昔から、不思議なんですが、学生が提案する時に「作品」
って言ってしまう文化に違和感を感じます。
デザイン学生が「作品」っていうと、その提案を現実の社会と
切り離してしまうような気がするわけです。
社会に対するsuggestionであるって、強く言えない様な文化が
言葉に現れてるでしょうね。
だいたい、なんだかはわかる気もするのですが。。。
こちらこそ、貴重な経験をさせていただきありがとうございました。
300人分の皆さんの分厚い感想と質問集をいただいて全部に目を通し、感動するとともに身の引き締まる思いです(大汗)
私自身が、とても勉強になりました。