Project2011キッフオフ合宿 in Singapore 2

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前回のエントリで、
1、新3年生プロジェクト学習のための予備調査(学生)
2、シンガポール大学の研究室訪問(上平のみ)
3、南洋理工大(NTU)とシンガポール大学(NUS)見学
4、インタビュー調査
と合宿の4つの目的を書いたが、最後の5つ目。


■目的5、生きた学習環境としての海外訪問の意義を考える
就活早期化の影響で、最近の大学生は昔よりも海外旅行に行けるような時期的余裕は減っている。しかしながら、旅の経験は机の上では得られない学びの最たるものだろう。昨夏、僕と一緒にアラスカ大に行った4年生2人が、街中での体験や向こうで出来た現地の友達のことを本当に目を輝かして語っていたが、今回の学生達も一生忘れないような濃い経験をしたようだ。旅は若者を元気づけ、そしてその後の生き方を再考させる力がある。観光旅行は難しくても、今回のような調査旅行や、本学でも松永先生が取り組んでいるように国際大会への挑戦や、研究発表やワークショップなど、勉学の一環として組み込んでいくのはいろんなやり方があるのかもしれない。

 海外まで自主的に調査に行くぐらいだから、彼らは熱心な学生達だと思うが、今回の合宿を通して、国を飛び出した中での"自分"の立ち位置に気付き、軽く打ちのめされたことだろう。シンガポールの街中を通して客観的な日本の現状も理解できただろう。(原発の報道は向こうの新聞でもかなり大きかったし、僕ですら何度も励まされた。街中での募金活動も見かけた)
 そんないろんな経験を通して、今後の社会の中で、自分達が今後競うべき人、助け合える人たちは何処にいるのか、ということも見えてくるってものだ。学部の中に閉じこもったままで戦おうとしても、学部の中のキャストしか見えてこない。


 そんなわけで、合宿で学生達に茶々をいれつつも、教室を飛び出した学びのことを考えることが僕の密かな目的でもあった。
 最近、僕は学習者を取り巻く場の設計に関心を持っている。要するに教員が池上彰氏のように張り切って分かりやすく教えるという行為には限界があり、プロジェクト学習のように予め筋書きが用意されておらず無数の脇道があるような学習の場合には、むしろそんなマインドは適していないわけである。
 教員は、学習者が主体的にコトを起こしていくような周辺の社会的インタラクションをどうマネジメントしていくかを重点的に考えていくべきだろうし、そういう中では関わり合いが起こる場に連れ出す行動力や、山あり谷ありの筋書きを制御しながらも即興的にファシリテートしていく柔軟さのほうが大事そうだ。いわば「教えない教育」というのをもっと考えていかなきゃな、と思っていた。

 なので、今回プロジェクトの発起人たちと合宿をやることが決まってから考えたのは、なんとしてでも現地の人たちと会う機会をつくろう、ということだった。現地の人が案内してくれるというのは、ただの観光旅行以上のことが見える、とても豊かな経験である。学生からみたら自然に決まっていたかのように思えたかもしれないが、僕もシンガポールに知り合いがいたわけではない。行くことが決まってからいろいろ動いて接点をつくったのだ。時期を調整し、セッティングするのはそれなりに大変だった。(だからこそキャンセルもしにくかった)ちなみに、僕とSerine、Samanthaを引き合わせてくれたのは、この春に上平研を卒業した仲野君である。昨秋、僕が仲野君を国際研修館に連れて行ったのが回り回って繋がってきたかたちだ。
 結果的に、そういう間をとりもっただけで、僕が頑張ることなく学生達は独りでに気付き、大いに学んだんじゃないかと思う。英語なんてまさにそうで、実際に必要な場に立ち会えば、誰だってそのツールとしての重要性と自分の無力さに気付く。問題はそれが未来の自分には対処可能である、と捉えるか捉えないかの違いだ。学生達の人生はまだまだ長い。変えていくことは十分に可能なはず。

 プロジェクトの目論見としては、残念ながら震災の影響でしばらくの間は外国の人々の来日は激減しそうだけど、世界を見れば、日本という国を好きで応援してくれる人たちも沢山いる。合宿はまだまだキックオフで入り口だが、これからなんとか打開策を考えつつ、学生達の活動をサポートしながら自分に出来ることを探っていこうと思う。今回参加出来なかった学生もこれから頑張ろう。

 今回は、旅先での事故よりもむしろ日本の災害の方が心配で心苦しかったが、短くも得るものは大きい合宿であった。

(続く)


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このページは、kamihiraがApril 3, 2011 5:05 PMに書いたブログ記事です。

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