Books: March 2008アーカイブ

昨日の続き
寿司屋は特殊としても、デザイン行為のたとえとしてよく聞くのが、「医者」。患者に問診してどこが悪いかを調べ、対応する処置を取る。この関係をクライアントとデザイナーの関係に見立てるものである。佐藤可士和がよく使っているらしいけども、この比喩は割と色んな人たちから聞く気がする。(ついでに、これはコンサルレベルの仕事やそろばん勘定ができないと恥ずかしくて言えないセリフで、若者がしったかして使うとベテランに『何様だ』と怒られることになる)

さて、たとえにする以前に、医者の方々はどんな仕事しているかというと。
「宿命です。365日ビシッと診ていけば人間は非常に強くて元気になる。患者さんが助かるために仕事をしている訳でその他のものではありませんからね」
プロフェッショナル 365日24時間医者であれ 外科医、幕内雅敏
以前、プロフェッショナルでやってたこの外科医の回を見た時、激務の中の相当な勉強量だけじゃなく、なによりも人命を救う最後の砦としての強烈な責任感に心の底から震え上がったことをよく覚えている。もちろんこれは最高峰レベルの仕事人ではあるが、半端な知識だけで表面的にたとえちゃいけないよな、と思った。

というわけで、ささやかながら医者の仕事のことも知ろうと努めているが、最近読んだ新書「見習いドクター、患者に学ぶ -ロンドン医学校の日々- 」という本は興味深かった。
医者が患者と対話しながら情報を得る際の「問診」という言葉を知っている人でも、その際、医者がどういうテクニックを使っているかを知る人は少ない。ある若手医者の留学体験を綴ったこの手記は、その辺を紹介している貴重な一般向けの本だ。

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ドナルド・ショーンのThe Reflective Practitioner(1983)の完訳版が昨年末に出たことを知って、早速購入してみた。
これまで訳書として知られていたのが、左の「専門家の知恵-反省的実践家は行為しながら考える-」(2001)で、日本の情報デザイン教育で取り入れられた"リフレクション"の理論的ルーツというべき重要な本だが、残念ながら理論の中心部分だけに絞られている部分訳で、残り大部分を占める「専門家の思考の事例研究」部分はカットされている。それが訳されているのが今回の完全版「省察的実践とは何か-プロフェッショナルの行為と思考-」(2007)である。その事例は、建築デザイナー、カウンセラー、都市プランナー、経営マネジメント・・・など。プロがプロたる所以の行為の詳細なプロトコルが分析されていて面白い。
ペトラ(※学生)は、問題を解決しようとして行き詰まっていた。クイスト(※師匠)はペトラが設定した主要問題について批判的に省察をおこない、問題の枠組み転換をおこない、ねじれた敷地にあてはめる新しい幾何学的配列という結果を生み出すことへ向かっている。<中略>クイストはこの作業をしているうちに選択の享受から込められた意味の受容へ、局所的なユニットのとり組みからその結果生じる全体に関する距離を置いた考察へ、一時的な検討のスタンスから全面関与のスタンスへと変化するのである。クイストは状況からの応答を聞きながら今後講ずる手だてのための意味の体系を生み出すまったく新しい考え方に気付く。(第三章 状況との省察的な対話としての建築デザイン p112)

残念ながらアマゾンでは品切れですが、僕はジュンク堂のオンラインショップで買いました。


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