Education: June 2008アーカイブ
午後に、はこだて未来大学の4年のNさんが大学を訪ねてきた。彼女らが夏に開催を予定しているex-sightというデザインワークショップの説明を兼ねて挨拶にきたそう。主催者直々の訪問は研究室の学生らにも熱意が伝染したようで、さっそく意気投合していた。はこだて未来大は開学してまだ10年ほどながら、継続的に学生らが言い出しっぺになってイベント起こしたり、OBや大学院生がそれをサポートしたりする文化があるんだそうだ。 今回のワークショップ運営もそんな縦のネットワークが活かされているとのこと。周囲を巻き込みながらNさんら4年生有志が中心に企画や運営も全部進めている模様で、話を聞いているとワークショップを企画するのが楽しいというのがよく伝わってくる。そんなNさんに、君を突き動かすものはなんなの?と聞いてみた。答えは、
「デザインの面白さに気付いたから」だった。企業実習などを経て、みんなで議論したりしながら学ぶことの意味や楽しさを再確認したそう。多くの学生はそんなことが意識に上ることもなく卒業する頃にはたと気付くものだけど、それにいいタイミングに自分で気付けるって事が、本当に貴重な事なんだと思う。ここに同席していたうちの4年生含め、この夏が過ぎて冬が過ぎたら、あっという間にもう学生生活も終わり。みんな悔いのない学びができるといいね。
遠く離れた大学の学生同士で自主的に計画が進んでいく様子を見ながら、ふと考えた。これこそがインターネットのもたらしたリッチな学びの一つなのかも、と。何時でも何処でもの遠隔コミュニケーションの中だけで完結するのではなく、そこから機会を設けてはるばる行き来し、対面する中で互いに学びあう喜びを共有する。手間暇かかるし、移動費も掛かる。でもそのコストと引き替えにしても同じ志を持つ仲間と直接出会う経験価値はとても高い。逆説的ながら、ネットの普及がその可能性を増やしたことは間違いない。
有朋自遠方来。不亦楽乎。(同じ学問を志す友人が訪ねてきてきてくれた、なんと楽しいことではないか)/論語
木曜日のこと、グラフィックデザインの「色彩」の回で、トーナルカラーをつかった配色演習を実施。内容は昨年度とほとんど同じままなので紹介するまでもないが、恒例の参加型作品制作のネタを新しく考えてみた。毎年ポスターじゃなんなので、今回は"カード型の色見本"をつくることに。テーマは「記憶の中にある色」。
すると、おぼろげな記憶を投影するかのように、淡く霞んだような不思議な色見本ができあがった。微妙な中間色の色合いに独特の詩情が漂っており、実に美しい。普通に色を使った課題をやらせると学生はコントラストが強いものや彩度の高いものに走りがちなことを知っていたため、これにはびっくり。
あなたの原風景(できるだけ古い記憶)の経験の中にある色を教えてください。配布された演習用トーナルカラーの束の中から一枚を選び、カードの上部に貼る。下部にはその記憶のストーリーと採集場所を記述する。メインの課題の合間を縫ってカードを作ってもらい、匿名で提出してもらった。
すると、おぼろげな記憶を投影するかのように、淡く霞んだような不思議な色見本ができあがった。微妙な中間色の色合いに独特の詩情が漂っており、実に美しい。普通に色を使った課題をやらせると学生はコントラストが強いものや彩度の高いものに走りがちなことを知っていたため、これにはびっくり。
記憶の中の色の続きを読む
担当しているAR(Augmented Reality) Projectの学生らが、某こども施設に入り込んで調査している。授業が終わった後、施設の方への挨拶がてらフィールドワークの様子を見に行ってきた。この調査活動、僕は窓口を世話しただけなのだが、インタビューも全部自分たちで計画して動いており、その主体的な動きっぷりはなかなか頼もしい。概念や空想だけで考えるのではなくて実際の場の観察や取材を通してヒントを探索し構造化していく、というまっとうな(?)情報デザインのプロセスを踏みながら動いているのもなかなか。
フィールドワーク:親子間コミュニケーションの調査の続きを読む
デザインのように人間の創造性が関わる教育にとっては、単発のアイデアよりも、対象が変わっても新鮮なアイデアを生産し続けられる良質な方法や考え方を体得できるかが重要なテーマとなる。外部知識装置としてのインターネットがどこまで優秀になっていこうが、こればかりは自分の中だけに存在するアナログな入出力回路を地道な訓練で鍛えていく他はない。これまで編み出されてきた各種発想法、例えばブレーンストーミングは集団の中に一定のルールを課することによって効果的にアイデアを創出するためのメソッドとして知られる。しかし、そのやり方以前に、前提となる創造的な状態へ思考スイッチを切り替えるためのトレーニングの大事さは意外に語られることが少ないのが現状だ。「批判しない」「他人のアイデアに乗る」というブレストのルールの意味もよく体得しないまま、なんだかよくわからないけど声の大きな人が話を引っ張って全体が動く、というパターンがほとんどだろう。
(不慣れな学生達たちになると、机を囲んで腕組みし、じーっと考え込んでしまうのまでいるが、それは思考がフリーズしているのであって、そんな苦行のような状態を続けたってクリエイティブなものが生まれる可能性はゼロに等しい)
身体の活動状態や血の巡りが思考回路に与える影響は、実は非常に大きい。そして創造には、自覚している意識だけではなく、意識の氷山の下に隠れている無意識の領域が大きく関わっていると言われる。アイデアが出やすい人は普段から意識の下に隠れている部分への効果的なアクセス方法を手に入れているのだと思う。
そこで、創造的思考の状態を体感するために、研究室の学生らを対象にして、インプロビゼーションの基礎的なトレーニングを行うワークショップを試験的に行ってみた。
