Interface: February 2009アーカイブ

g13.jpg研究室のミーティング用テーブルとイスを新調した。部屋が明るくなるよう、白くてスッキリとした奴。ところが、材質が固く冷たいせいで座る人の尻がじんわりと冷え、そしてイスの方は(雨降ると特に)学生らのジーンズの色が付着し、また金具でキズだらけになるという、お互いにとってミスマッチで悲しい出会いになってしまった。ここ何年も欲しい欲しいと思ってようやく予算をもらって実行したのに、僕以外、座る人もイスも幸せになってないってのは一体どういうことだ。

人間中心設計的には、ユーザの利用状況(Context of Use)の把握を怠ったって話だよな、なんて思いながら、そういえばここのところちょっと気になっていることを思い出した。人間中心設計って、通常、円環のモデルで語られる事が多いけど、順列プロセスである必要ってどのくらいあるんだろうか。

ISO13407 では人間中心設計プロセスとして次の4つのプロセスを定義している。
1、利用の状況の把握と明示
2、ユーザと組織の要求事項の明示
3、設計による解決案の作成
4、要求事項に対する設計の評価

図に示すように、これらの活動を目標達成まで繰り返し行うことにより、人間中心設計が確保される。なお、ここで図の見方について注意しておかなければならないことがある。図では各プロセスが時計回りに順に実施されることを規定しているように読み取れるが、それはISO13407の意図しているものの一つではあるが、全てではない。ISO13407が規定していることはあくまで4つのプロセスの必要性であり、それを図の順序で組み立てるということではない。

このプロセスの組み立て方(これを"プロセス構築の方法論"という)は、製品の種類、製品のライフサイクル、企業の組織・文化に依存するものであり、その依存の度合いにより多様な形態があり得るものである。したがってISO13407の導入を検討する企業は、その企業の現状を十分に把握した上で自社にあったかたちで4つのプロセスを組み入れることが求められる。

ISO13407が分かる本 (P41)黒須正明他

HCDとしては順列は必須ではなく、いろんな形があり得るとされているようだ。だからプログラミング能力がある場合には、たたき台のシステムを作ったうえで利用状況を調査し、そのなかで潜在的なニーズを発見するということだってできるわけだが、そういうアジャイル的なやり方ってのも含まれることになる。


■インタラクションデザインのコンポーネント
どんなデザイン開発にも必要な作業があるが、次の5つは革新的デザインのための核となる。
1、理解(解説略)
2、抽象化(解説略)
3、構造化(解説略)
4、表現(解説略)
5、ディティール(解説略)

この5つのプロセスは必ずしもこの順番通りに進むというわけではない。デザイナーの作業はひとつを始めれば次に飛び火するといったように順不動に行われる。たとえば情報の構造化を考えている時にはテキストはどの程度入るか、あるいは特にこの情報に関するユーザがもっとも本能的にインタラクトするやり方はなにかを、デザイナーは同時に考えるだろう。
<中略>
つまりインタラクションデザインの実践に際しては情報に基づいた本能(勘)が原理と同じぐらい重要であり、オスモシス(技能や価値を主に本能的に会得していくこと)は情報の移行を現実通りに捉えるのと同じなくらいインタラクションデザインの教育にとって大切なのである。

「アーティスト・デザイナーの役割」ギリアン・クランプトン・スミス 
  「ソフトウェアの達人たち 認知科学からのアプローチ」(P46)より
インタラクションデザインの教育方法を確立した第一人者であるギリアンも、順列が必須とは言ってない。この辺は基本的な話なのだけど、誤解されやすいかも。自分の組織(教育含む)に適用していくためには、プロセスの入り口を柔軟に考えていく必要がありそうなので、ちょいとメモ。進め方は目的に従属するものだし、学部の特徴や教育スタイルによっていくらでも展開方法はあり得るのだろう。生身の人間として必要な「勘」を鍛えるという基本は忘れないようにしたい。


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